ITパスポート試験(略称iパス(アイパス))とは
情報処理の促進に関する法律第29条第1項の規定に基づき経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験の一区分となっている国家試験でスキルレベル1(スキルレベルは1~4が設定されており、その最も低いレベルに該当)。
対象者像は「職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者」となっており、ITエンジニアだけではなく幅広い層にITに関する正しい知識が必要であるとの認識が広がってきた背景から、平成21年4月に新設されました。平成30年までの累計応募者数は97万人以上に及ぶ人気資格です。
なお、「シラバス(情報処理技術者試験における知識・技能の細目)」によるスキルレベルは
<ITパスポート試験>
・「ITパスポート試験(レベル1)」
<情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験>
・「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」
・「基本情報技術者試験(レベル2)」
・「応用情報技術者試験(レベル3)」
<高度試験>
・「ITストラテジスト試験(レベル4)」
・「システムアーキテクト試験(レベル4)」
・「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)」
・「ネットワークスペシャリスト試験(レベル4)」
・「データベーススペシャリスト試験(レベル4)」
・「エンベデッドシステムスペシャリスト試験(レベル4)」
・「ITサービスマネージャ試験(レベル4)」
・「システム監査技術者試験(レベル4)」
<情報処理安全確保支援士試験>
・「情報処理安全確保支援士試験(レベル4)」
となっています。
資格取得のメリット
現役のITエンジニアにとっては、ITパスポートは殆ど意味がない資格であると言えると思います。ITパスポート試験の出題範囲は「ITエンジニアであれば知っていて当然」のことばかりであるからです。したがってIT系の職種への就職活動において有利に働く事は少ないと考えられます。既にITエンジニアとして実績を積まれている方にとってはよりスキルレベルの高い「基本情報技術者試験(レベル2)」や「応用情報技術者試験(レベル3)」から始めても良いと思われます。一方で、これからITエンジニアを目指して勉強する方にとって、ITパスポート試験は良い勉強になると思います。
iパスは、ITに関する知識にとどまらず、企業活動、経営戦略、会計や法務など、ITを活用する上で前提となる幅広い知識がバランス良く習得できます。ITパスポートは、情報処理技術者試験の共通キャリアフレームワークの中でスキルレベル1と位置づけられています。これに合格することで、レベル2の基本情報技術者、情報セキュリティマネジメントへの道も開けてきます。上位試験の合格にはアルゴリズムやプログラム言語の知識が求められそう簡単ではありませんが、ITパスポート試験を深化したものが殆どです。また必ずしもITエンジニアを目指す方だけではなく、IT系職種以外にも有効な資格です。事務系職種の方もPCやネットワークに触れる機会は年々増加しており、ITから逃れることはできない状況になってきています。情報リテラシーやセキュリティ対策、コンプライアンスなどの基礎知識を持っていることを証明する国家資格であるiパスを持っていることはメリットになることがあります。
これらの背景から、ITに関する基礎知識を体系的に習得させるために、iパスを社員教育の手段として活用している企業が多数あり、また新入社員・内定者への導入教育として、活用している企業も多数あります。
iパスの活用事例(【ITパスポート試験】情報処理推進機構 – IPAのウェブサイトへ)
試験時間
ITパスポート試験の試験時間は120分です。
出題形式・出題数・出題範囲
出題形式は多岐選択式(四肢択一)で、出題数は100問です。なお、出題数100 問のうち,総合評価は92 問で行い,残りの8 問は今後出題する問題を評価するために使われます。また,分野別評価の問題数は,ストラテジ系32 問,マネジメント系18 問,テクノロジ系42 問となっています。
ストラテジ系とは
企業と法務、経営戦略、システム戦略といった経営全般に関する基本的な考え方についての試験となります。ストラテジ系では、情報処理技術に関する基礎用語、概念を問う問題が出題され、データ分析、課題の解決方法に関する基礎知識も出題範囲に入っているため、それらを遂行するためにするためにどのようにオフィスを活用するか、なども含まれます。
マネジメント系とは
マネジメント系は、システム開発やプロジェクトマネジメントのプロセスに関する基礎知識ならびに概念などに関する項目になります。またコンピューターやネットワーク、オフィスツールなどを使って、業務環境の整備を考えるための基礎知識についても問われます。
テクノロジ系とは
コンピュータに必要な数学・コンピュータの構成・ネットワーク・データベース・セキュリティについての分野です。
試験の実施方法・実施時期
ITパスポート試験はCBT(Computer Based Testing)方式によって実施され、随時実施されています。CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピュータを利用して実施する試験のことで、受験者は試験会場に行き、コンピュータに表示された試験問題にマウスやキーボードを用いて解答するものです。土日や夜間を含め随時、試験が実施されているため、受験者は都合に合わせて試験日時や会場を選択することができます。また試験の申込みから結果確認までの手続きがコンピュータを通じ、いつでもでき、試験結果がすぐにわかり、受験後1年間は試験結果レポートのダウンロードができるように配慮されています。
CBT(Computer Based Testing)方式を体験するCBT疑似体験ソフトウェアが【ITパスポート試験】情報処理推進機構 – IPAのウェブサイトに公開されています。
CBT疑似体験ソフトウェア(【ITパスポート試験】情報処理推進機構 – IPAのウェブサイトへ)
また身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方を対象に春期(4月)と秋期(10月)の年2回,ペーパ方式による試験が実施されています。
合格基準
配点は1000点満点で総合評価点で600点、分野別評価点でストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系のいずれにおいても1000点満点のうち300点となっている基準点を満たした場合に合格となります。
受験者数と合格率の推移
平成30年度末までの累計応募者数(注:受験者数ではない)は97万人以上に上っており、平成30年度だけでも応募者数は107,172人、そのうち95,187人が受験し、49,221人が合格しています(合格率51.7%)。
合格率は40~50%程度で推移しており、難関の国家資格の合格率が一桁%であることを考えると比較的容易であると言えるのではないでしょうか。また、スキルレベル2の基本情報技術者試験と比べてもその合格率は高く、ITに関する入門としての位置づけを反映したものになっています。しっかりと勉強すれば資格を取得することができるでしょう。
受験資格
ITパスポート試験に限らず、情報処理技術者試験は受験者に関する制限がありません。学歴や年齢に関係なくどなたでも受験することができる国家試験です。
受験料
5,700円(消費税込み)
受領した受験手数料は、理由のいかんにかかわらず返還されません。また春期、秋期に行われる情報処理技術者試験(筆記による方式)や特別措置試験への充当もできないようになっています。
受験申込
まずはじめにITパスポート試験の専用サイトにアクセスし、利用者IDを登録します。その後利用者IDと設定したパスワードを使って利用者メニューにログインし、試験会場と試験日および支払方法を選択して申し込むという流れになります。利用者IDの登録から合格発表までの手順は以下に詳しく説明されています。
試験の流れ図(【ITパスポート試験】情報処理推進機構 – IPAのウェブサイトへ)
終わりに
独学で無事に一発合格をすることができました。どのようにして学習を進めて受検に望んだのか、体験記を以下に記しました。これからの受検を検討されている方の一助となれば幸いです。
http://www.healthy-life-food.jp/2019/07/23/it%e3%83%91%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%88%e8%a9%a6%e9%a8%93%e3%81%ab%e7%8b%ac%e5%ad%a6%e3%81%a7%e5%90%88%e6%a0%bc%e3%81%97%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f%e3%80%82%e3%81%9d%e3%81%ae%e5%8b%89%e5%bc%b7/